令和6年度 校長あいさつ

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 本校は、昭和4年(1929年)馬淵聾唖学校として開校しました。校名には設立に尽力した馬淵曜(あきら)先生の名前が冠せられました。馬淵先生は馬淵組(現馬淵建設)の創業者で「人生は五十年がひと区切り」と考えられ、業界の仕事から身を引き、社会公共事業に力を尽くそうと決心されました。「万人が望み、しかも万人が手を出せない事業こそ、天が自分に与えた使命である」と考え、自ら校長に就任し、後半生と全財産を聾唖教育に捧げる決意をしました。昭和6年に小矢部に新校舎を建設し、文字通り心血注いだ馬淵聾唖学校でした。昭和28年(1953年)3月31日付で横須賀市に移管、同年4月1日に横須賀市立ろう学校となりました。その後、昭和50年(1975年)に現在地の森崎に移転しました。
 現在、本校には幼稚部・小学部・中学部・高等部の4つの学部と0歳児からの教育相談を行っている乳幼児教育相談「ひよこ教室」、市内小・中学校在籍児童生徒が通級する「きこえとことばの教室」があります。また、聴覚障害教育のセンター的機能として横須賀市立学校等の支援も行っています。
 近年、補聴器の進歩や早期の人工内耳装用などによって、聴覚活用が高まり、発音の明瞭さや発話力の高まりが感じられます。しかし、ろう学校には、語彙を増やし、言語力を高め、基礎学力の定着が求められていることに変わりはありません。私たちは、幼児児童生徒の障害特性及び発達段階等を考慮して、子どもに合った音声や手話、指文字によるコミュニケーションを図り、イラスト・写真・文字等の視覚的情報を活用して、より理解しやすくなるような工夫をしながら、聞こえにくさを補うなどの配慮に努めなければいけません。
 馬淵先生の本校建学の強い意志、当時の学校経営などの歴史や現在まで引き継がれてきたこと、今後に継承していく責任を感じています。本校に在籍する子どもたちが豊かな心情をもち、自ら学び、自ら考え、社会の変化に主体的に対応できる力を教職員一同、力を合わせて育んでいきます。どうぞ本校の子どもたちを温かく見守ってくださいますよう、お願いいたします。

 令和6年4月吉日 横須賀市立ろう学校 校長 村野 茂

更新日:2024年04月19日 12:52:02